exhibitions

  • current
  • upcomming
  • past

 2008年5月12日(月)−2008年5月31日(土)

 ギャラリーメスタージャ第Ⅴ回企画展
「四谷シモン 人形とデッサン展」
 Poupées et Dessins de Simon

プレスリリース  略歴

写真_01
(c)simon yotsuya

写真   写真
(c)simon yotsuya   (c)simon yotsuya


プレスリリース

四谷シモンは10歳のころから人形を作り始め、十代後半から人形作家 林俊郎・坂内俊美に師事、また人形作家 川崎プッペを訪ね、人形作りを生涯の仕事にする覚悟をしたといいます。

憑かれたように人形を作り続けていた四谷シモンですが、21歳の時に古本屋で偶然手に取った雑誌に掲載されていた、澁澤龍彦(1928-1987)による連載の中でハンス・ベルメール(1902-1975)の人形と遭遇します。この、フランス文学者澁澤龍彦と、独自の球体関節人形を作り続けたハンス・ベルメールとの邂逅はその後の四谷シモンの人形作りに決定的な影響を与えることになりました。それまでに制作していた人形の材料をすべて捨て、澁澤龍彦の著書を読み始め、ベルメールの人形を前に、新たに自分の求める人形を模索し始めたのです。

その後唐十郎の主宰する「状況劇場」に俳優として出演、澁澤龍彦はじめ、画家金子國義、美術家・評論家 瀧口修造、詩人 吉岡実、作家 種村季弘、女優江波杏子など幅広い交友関係を持ちながら人形制作を続け、1973年には青木画廊にて第1回個展『未来と過去のイヴ』を開催、1978年には人形制作学校『エコール・ド・シモン』を主宰し、以後多くの後継者を育てながら個展、様々な展覧会への出品、俳優としてのTV・映画出演、写真集・エッセー集の出版などを精力的に行っています。

このように人形作家で知られる四谷シモンですが、人形制作の傍らデッサンも描き続けてきました。今回の企画展は、今までにない試みとしてデッサン(パステル、鉛筆)約20点を中心とした構成となります。また人形作品も2体(予定)展示いたします。デッサンは、人形の静謐なエロスが漂う独特な存在感とは対照的にパステルの柔らかな色合いと繊細な鉛筆の線で描かれた軽やかな作品です。四谷シモンという一人の人間の手から生まれたその柔らかさと軽やかさそして人形の緻密な大胆さを同時に鑑賞できる貴重な機会であると言えるでしょう。




四谷シモン  略歴:

1944 東京・五反田に生まれる
1956 この頃から粘土やぬいぐるみの人形を作り始める
1957 人形作家・坂内俊美のもとでアルバイトを始める
1958 人形作家・川崎プッペを訪ねる
1960 ぬいぐるみ人形作家・水上雄次の内弟子となる
1962 『現代人形美術展』(朝日新聞社主催)に初出展、入選
1965 雑誌『新婦人』の澁澤龍彦執筆による〈女の王国〉でハンス・ベルメールの人形を知り、衝撃を受ける
1967 唐十郎の状況劇場公演『ジョン・シルバー新宿恋しや夜鳴篇』に出演、渋谷の東急百貨店本店開店のキャンペーンの一環としてディスプレイ用人形を7体制作
1968 状況劇場公演『由比正雪』、大島渚の映画『新宿泥棒日記』に出演
1969 状況劇場公演『腰巻お仙振袖火事』、『少女都市』に出演
1970 大阪万国博覧会せんい館に『ルネ・マグリットの男』を出品。
状況劇場公演『ボタンヌ袋小路』、『愛のリサイタル』、『ジョン・シルバー愛乞食篇』に出演
1971 状況劇場公演『吸血姫』、『あれからのジョン・シルバー』に出演、細江英公の私家版写真集『四谷シモンのプレリュード』刊行
1972 展覧会『10人の写真家による被写体四谷シモン展』紀伊国屋画廊
1973 第1回個展『未来と過去のイヴ』青木画廊
1974 第11回東京ビエンナーレ出品(『未来と過去のイヴ』)
1975 エッセー集『シモンのシモン』(イザラ書房)刊行、『日本洋画商協同組合展・春の祭典』日本橋三越に出品
1978 人形学校『エコール・ド・シモン』開校(原宿)。『間―日本の時空間展』パリ・装飾美術館出品、エッセー集『機械仕掛けの神』(イザラ書房)刊行
1980 個展『機械仕掛けの少年』青木画廊
1981 『第1回エコール・ド・シモン展』紀伊国屋画廊
1982 個展『ラムール・ラムール』青木画廊、『瀧口修造と戦後美術』富山県近代美術館に出品
1983 『第2回エコール・ド・シモン展』紀伊国屋画廊(以後、毎年開催)個展『解剖学の少年』青木画廊
1984 個展『未来と過去のアダム』青木画廊、状況劇場公演『あるタップダンサーの物語』出演
1985 『未来のアダム15ARTISTS vs.1POET』展に出品、作品集『四谷シモン 人形愛』(美術出版社)刊行
1986 『人形工芸−昭和初期を中心にして』東京国立近代美術館工芸館に出品、『幻想の画廊からPART1 1960年代より現在まで』青木画廊に出品、個展『四谷シモン人形展1973−1986』 青木画廊
1989 『シモンのシモン』(ライブ出版)刊行、『美術の国の人形たち』宮城県美術館に出品
1992 『所蔵作品展91−Ⅳ』徳島県立近代美術館に出品、『人形〈ひとがた〉現代の感情展』神奈川県民ホールギャラリーに出品、『アダムとイヴ』埼玉県立近代美術館に出品
1993 新版『四谷シモン 人形愛』(美術出版社)刊行
1994 『20世紀の人間像-4 現在との対話』徳島県立近代美術館に出品、『KARADAがARTになるとき[物質になった器官と身体]』板橋区立美術館に出品、『人形芸術の世界−夢二から現代へ−』なんば高島屋他に出品、1年間雑誌『ユリイカ』の表紙を担当
1995 個展『四谷シモン展―人形』早稲田・aptギャラリー
1996 『〈ひとがた・カラクリ・ロボット〉展』O美術館に出品
1997 日本の名随筆・別巻81『人形』(作品社)を編集・刊行、『四谷シモン エコール・ド・シモン人形展』伊勢丹新宿店新館ファインアートサロンに出品
1998 『種村季弘〈奇想の展覧会〉実物大』画廊春秋に出品、写真集『NARCISSISME 四谷シモン』(佐野画廊・書肆山田)刊行
2000 大回個展『四谷シモン―人形愛』大分美術館他、『間―20年後の帰還』展 東京芸術大学美術館に出品
2001 『病院ギャラリー』」愛媛県伊予三島市に人形作品を展示
2002 半生記『人形作家』(講談社現代新書)刊行
2003 『今日の人形芸術―想念の造形』展 東京国立近代美術館工芸館他に出品、写真集『病院ギャラリー717DAYS 2001-2003』(心泉社)刊行
2004 『人形 POUPEES』展 パリ市立アル・サン・ピエール美術館に出品、『球体関節人形展(Dolls of Innocence)』東京都現代美術館に出品、『四谷シモン人形展 淡翁荘』坂出市オープン、『封印された星-瀧口修造と日本のアーティストたち』展に出品、東京近代美術館工芸館『所蔵作品展』に出品
2005 『人びとと人形』展 イギリス ブライトン・ミュージアム・アンド・ギャラリーに出品
2006 『エコール・ド・シモン人形展』銀座スパンアートギャラリー、エッセー集『四谷シモン 前編−創作・随想・発言集成』(学習研究社)刊行
2007 『球体関節人形展−四谷シモンを中心に』展 同志社大学(京都)に出品、『澁澤龍彦 幻 想美術館』展に出品、『澁澤龍彦 驚異の部屋』展に出品、『〈開館30周年記念展Ⅰ〉工芸館30年の歩み』東京国立近代美術館工芸館に出品、『六本木クロッシング2007 未来への脈動』展 森美術館に出品